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2019年8月11日日曜日

ライオンキング 実写版 感想 ネタバレ





2019年夏、ライオンキングを観てきたのでレビューします。
映像は文句なしの美麗CGです。時代はどんどん進んでいきますね。
映画、ミュージカル等は観たことがなかったので、全くのはじめての状態でのストーリーの感想です。元祖のライオンキングファンとは感想が異なると思います。
そして大いにネタバレして沢山端折ってます。気を付けて下さい。

謙虚な王、ムファサ























 主人公シンバの父であるムファサはプライド(ライオンの群れ)のリーダーであるだけでなく、高台から見下ろした景色、日の当たる場所全てが守るべき領土と言います。いずれ王の座を継ぐように言われているシンバは興奮しながら広大な土地が自分のものになることに喜びます。そんなシンバの言動にムファサが

「お前が、王として何を与えられるかを考えなさい」 とピシャリ。


ケネディ大統領の演説を思い出しました。


「Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.(国があなたのために何をするか問うのではなく、あなたが国のために何ができるのかを問いなさい)」


ムファサは続けます。生命は輪だ(サークルオブライフ)。肉食動物が草食動物を捕食し、肉食動物が朽ちた後は草木となり草食動物がそれを食べる。彼はこの世の全てのものに愛とリスペクトを持っていました。
ムファサはあくまでも謙虚な姿勢を崩さない、優れた王でした。




弱き者が弱った強き者を救う。























 ムファサを死に追い詰めた原因を作ったことで自暴自棄になるシンバの前に現れたのは、ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァ、本来では捕食する者、される者の関係です。
 落ち込むシンバにこう告げます「ハクナ マタタ(問題ないor心配ないorくよくよするな)」過去は変えられない、未来の為に過去は忘れよう。そういった意図で励まします。


 森で平和な暮らしをするシンバ、「生命はだ」とティモンとプンバァに話すと2人は反論します。「生命は直線でしかない」喰われる者であるティモンとプンバァには、食べる、食べられるしか存在せず、肉食動物が朽ちて草になり、世界が丸く繋がっていることなど目も向けられない様子でした。


王の息子たるアイデンティティ





















 ムファサのシンバを陥れ、叔父であるスカーは王として君臨し暴虐を尽くします。
シンバの妻候補であったナラはそんな状況を帰るべくサバンナを飛び出し、シンバに再会を果たします。

 すっかり毒気が抜け、勇気を失い平和ボケをしていたシンバに失望しぶん殴るナラ。シンバは 自分とは何か、自分は何者でもないと悩みます。この時のシンバは未来のために過去を忘れるところが、過去を忘れ未来すら見失った状態です。

 そこで出会ったのがマンドリルのラフィキ、シンバの心にいる父のことを思い出すように説得します。その甲斐あって「ムファサの子、シンバとして王を継ぐ」という使命を胸に宿すのでした。


親友ティモンとプンバァ



この映画で1番感動した場面は、シンバに「生命は直線なんだろ?」と嫌味を言われてティモンとプンバァが返したこのセリフ。

「よく考えたらちょっとだけカーブしてた」

 何気ないやりとりですがこれは大変意義深いと思いました。ちょっとカーブすればいつかは輪になりますね。
 現代においても自分の生活に精一杯で苦しんでる人が、どれだけ他人を慮り、支えられていることに感謝できるでしょうか?1人ではないことに気づくというのは簡単そうでとても難しいことです。シンバは生きることで精一杯な捕食される者たちを、少しだけこの世は支えられて生きていることに気づかせたのです。


そして次世代へ





















 スカーを追い詰め新しい王となったシンバ。シンバとナラの子が他の動物に歓迎されながら掲げられて物語は幕を閉じます。
 痛みを知り時に自分を見失いながら故郷を守る選択をしたシンバはきっと良い王になったでしょう。




総評


 ライオンキングでは、「サークルオブライフ」が大きなテーマであり、世界平和に向けての祈りの話かなと感じました。
 森に住む草食動物は青年のライオンの姿であるシンバにギョッと驚きますが、当の本人は生態系の頂点にいる自覚もなくアイデンティティを見失い苦しみます。
 この世の中って優れた才能を持ちながら、自分ではそれに気づけずに苦しむ人たちって凄く多いと思うんですよね。そんな人の孤独を見つけてあなたは素晴らしいということを伝えてあげられる人になりたいですね。

 ライオンキングの予告ではムファサがシンバに「役目を果たせ」と告げている場面があります。ノブレス・オブリージュ(財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴う)の概念はアメリカでは根強いですよね。力を持つ者は社会の規範でなくてはならない。社会的責任が伴う。生まれながらにして生態系の頂点であり、王として生まれたシンバの苦しみと、多くの動物に支えられ義務を果たす姿に心打たれました。

 ミュージカルとしてはサークルオブライフが1番好きだったので冒頭ですぐサークルオブライフが終わってしまいました。あと悪役スカーの曲もかっこよかった。

 あとシンバはもうちょっとティモンとプンバァに感謝してあげてほしい。最初は打算的に(プンバァはそうじゃないかも)ライオンの子だから救ったけど、最終的にめちゃくちゃ肩入れしてくれたよね。人徳(ライオン徳)も立派な王の才能だよなぁ。





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