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2019年8月29日木曜日

「動物の心」レビュー



街の子供たちの夏休みが終わるこの時期になると、炎天下のなか庭の片隅の石をひっくり返し、うねるミミズを「こいつらには感情があるのかなぁ」とぼーっと見つめていた子供時代を思い出します。

昆虫や動物を見て、感情や生きがい、かかわりに疑問を持つ人は少なくないでしょう。生活の中で何気なく生き物と人類を比較し、感じていた疑問を言語化してくれる本、それが「動物の心」でした。

























ナショナルジオグラフィック別冊
動物の心 知性 感情 言葉 社会

発行 日経ナショナルジオグラフィック社
定価 1400円+税




ぜひ買って読んでいただきたいのですべての記事の内容に触れることはしませんが、なるほどなぁと思ったのがこのフレーズ

「人間の経験を動物の中に見出すことは、感傷的な行動ではなく、何百万年にもわたる進化の中で形作られてきた認知的な傾向に根ざした行為だろう」(p96)

私は動物のドキュメンタリーを見るのが好きです。1年しか生きられないボウズハゼが決死で崖を登る姿に感動し、若いサイの縄張りの侵入は見逃すサイの社会の仕組みに感心し、弟のために勝ち目のない戦いに挑む兄ライオンに心を打たれるのは、感傷的な行動に近いものと解釈していましたし、実際その一面もあると思います。

しかし、感傷的な面だけではない。他の個体と自分の心を照らし合わせて解釈し、行動するというのはそのほうが自然に有利ということを進化の過程で人間をはじめ他の動物たちも学んできたと本書では解説しています。


渡り鳥は夕日に向かって飛びながら、綺麗と思っているのか?




















この本では、動物の心に関することを学べるのはもちろんですが、自分の無意識な(あるいは本能的な)行動が進化に関わっていることを、動物との比較を通して学ぶことができるのが特徴です。初めて聞くような動物のエピソードも豊富で知的好奇心が満たされます。

挿入されている動物の写真も美麗です。
110Pほどですが読みごたえありです。翻訳しているのでちょっと疑問に思うところもありますが基本的には問題なく読めます。








関連記事


大人のための動物図鑑





2018年2月7日水曜日

大人のための動物図鑑


動物フィギュアを紹介しているうちに、もっと詳しく知りたくなり、
大人が読んでも楽しい動物図鑑が欲しいと思って
購入した2冊をレビューします

1.大人の動物図鑑の王道








世界動物大図鑑
デイビット バーニー
ネコ パブリッシング

収録動物は全て写真!


とにかく沢山の種類の動物の収録を求めるならこの本。
マナティ(全3種)は1種類しか載っていないなど、
完璧ではありませんがこれ以上を求めるなら
「哺乳類図鑑」等もっと範囲がせまい図鑑を買うしかないと思います。
動物全般を取り扱っている本としては最高峰だと思います。
価格は約一万円。お値段も最高峰ですが、このボリュームで一万円は安いと思います。
一生ものの図鑑です。




辞書のように使うのは不便


この本の欠点としては、索引が不親切です。
「パンダ」が知りたくて<パ>の欄を探してもありません。
「ジャイアントパンダ」なので<シ>から探す必要があります。

「オオヤマネコ」ではなく「ヨーロッパオオヤマネコ」
「ヤマネコ」ではなく「アンデスヤマネコ」か「マレーヤマネコ」
とにかく正式名称を覚えないと見つからないスパルタ式です。

あと3kgぐらいあるのでシンプルに重いです。






















2.マイナーな動物が好きな方へ

~写真集としても情報誌としても優秀~









「100年後も見たい動物園で会える絶滅危惧動物」
2017年11月29日発行
日経ナショナル ジオグラフィック社


写真が専門の会社なだけあって、
美麗な写真が見開き2ページにわたって掲載されています。
マレーバクの目がメチャメチャ充血してるのがわかるほどの鮮明さ。

キリン、パンダなどの有名な動物から
ビントロングといった知名度の低い動物まで40種収録!


付録にパンダのクリアファイルが付きます。
シャンシャンブームを見逃すことが出来ない動物業界です。
価格は1500円程度とリーズナブル。雑誌のような紙質です。



Schleichの仔パンダを置いたら同化してしまった


























どうでしたか?
本屋でとても悩んだので二冊とも自信を持っておすすめできます。
世界動物大図鑑の推薦のことばを担当しているのはなんと秋篠宮殿下。
由緒正しい大図鑑です。

絶滅危惧動物の本は、会える動物園が記載されているのが斬新です。
ネットで会いたい動物を探しても、
もう転園していたり亡くなっていたりするパターンも多く、
最新の情報を雑誌で得られるのは嬉しいですね。

皆さんのおすすめの本も是非教えてください。